アメリカとロシアの利害が交わる一点:「NATO脱退」という選択肢
アメリカとロシアが対立しながらも、ある一点で利害が一致する可能性がある。それが「アメリカのNATO脱退」だ。
アメリカは冷戦時代から続くロシアとの対立を緩和し、新たな地政学的バランスを模索している。一方、ロシアにとってNATOの弱体化は長年の戦略目標であり、特にアメリカの影響力低下がNATO全体の結束を損なうと考えている。もしアメリカがNATOを脱退すれば、両国にとって一定の利益が生じる。
アメリカにとっては、ヨーロッパ防衛の負担から解放され、ロシアとの関係改善を進めることでエネルギー政策や経済協力の可能性を広げることができる。ロシアにとっては、アメリカがNATOから離脱すれば西側の軍事同盟が揺らぎ、欧州の安全保障に対するロシアの影響力が増すことになる。
もちろん、このシナリオには多くの障害がある。NATOの加盟国やアメリカ国内の軍事・外交関係者は、アメリカのNATO脱退に強く反対するだろう。また、脱退による安全保障上のリスクも無視できない。しかし、長期的な戦略の観点から見れば、アメリカとロシアの利害が交差する地点として、「NATO脱退」は十分に浮上し得る選択肢なのだ。
アメリカのNATO脱退の現実味
アメリカとウクライナの資源協定が破断し、ゼレンスキー大統領は欧州へ助けを求めることになった。欧州諸国は彼を歓迎し、より多くの支援を約束した。しかし、これはまさにトランプ大統領の戦略通りの展開であり、ゼレンスキー大統領のさらなる失態とも言える。
アメリカの目的は単なるウクライナ戦争の停戦ではない。トランプ大統領はロシアとの関係改善を進め、中国とロシアの結束を阻止しようとしている。これは故キッシンジャーが提唱した「逆キッシンジャー戦略」に基づいており、トランプ大統領は一期目から彼の助言を受けていた。
資源協定の破断により、アメリカはウクライナ支援を打ち切る自由を得た。これにより、最適なタイミングでこのカードを切ることが可能になる。さらに、ウクライナの安全保障を欧州に委ねることで、アメリカはウクライナ問題から手を引く正当な理由を持つことになった。欧州のウクライナ支援強化は、むしろアメリカにとって好都合な展開なのだ。
この流れの延長線上にあるのが、「アメリカのNATO脱退」という決断である。欧州がウクライナの安全保障を主導し、アメリカの関与が薄れるにつれ、アメリカ国内で「NATOの必要性」に疑問を抱く声が高まるのは必然だ。トランプ大統領は以前からNATOに批判的であり、ヨーロッパの防衛負担を減らしたいと考えてきた。ウクライナ戦争を欧州に委ねることで、アメリカがNATOを脱退する現実味が一層増してくる。
欧州の対応がアメリカの決断を後押しし、結果的にトランプ大統領の思惑通りに進んでいると言える。ウクライナのゼレンスキー大統領はアメリカに見放されながらも欧州に助けを求めたが、その選択が、皮肉にもアメリカのNATO離脱を加速させる要因となる可能性があるのだ。